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みかんの町、三ヶ日
静岡県浜松市には「三ヶ日(みっかび)」という地区があります。
浜名湖の北岸に位置し、すぐお隣は愛知県という県境の自然豊かな町です。
お正月に読むと「さんがにち」と読んでしまいそうになりますが、「みっかび」が正しい読み方です。
日照時間が長いこの地域ではみかんの栽培が盛んで、栽培されている温州みかんは「三ヶ日みかん」と呼ばれ全国に出荷されていますので、ご存じの方も多いかもしれませんね。
ちなみに三ヶ日の山道を歩くと、街中で小石を踏むのと同じくらいの確率で、みかんを踏みそうになるのでご注意ください
前置きが長くなりましたが、そんな三ヶ日地区にある「濱名惣社神明宮(はまなそうしゃしんめいぐう)」は、浜松の織物の歴史と切り離しては語れない神社なのです。
伊勢神宮ゆかりの神社
拝殿。
この辺り一帯が伊勢神宮の神領であった事から、三ヶ日地区には伊勢神宮ゆかりの神社がたくさんあります。
濵名惣社神明宮はその代表格で、本殿は伊勢神宮へ貢進品の収納庫として使われたと云われています。
口碑の社伝によると、伊勢神宮が現在地である三重県伊勢市へ遷る前に、四十数日のあいだ一時的にこちらに祀られていたそうです。
そのため、境内には伊勢神宮との関わりの深さが垣間見える場所がたくさんあります。
本殿。
拝殿の後方斜面に位置しており、現在は立ち入り禁止のため見逃してしまう方も多い本殿。
井籠(せいろう)造りと呼ばれる工法は柱が無く、全国的に見ても類のない建造物で、国指定の重要文化財となっています。
三角形の稜(りょう)を削り落としたような木材による井籠造を校倉(あぜくら)造とも呼び、繊維の世界でも校倉織りという織り方に活かされています。
校倉織りストレッチクールブルゾン(春夏用)
伊勢神宮の撤去古材。
伊勢神宮の古材は、濱名惣社神明宮の鳥居や玉垣に再生され、その内の一本がここに奉納されています。
機織りの神様を祀る神社が2つ
機織りの神様を祀る天棚機姫命(あめのたなばたひめのみこと)社
先日ご紹介した織姫様を祀る神社「初生衣神社」で織られた神御衣を、毎年4月一時的にこちらへ納め、5月に伊勢神宮に奉献されています。
天羽槌雄命(あめのはづちをのみこと)社
こちらにも機織りの神様が祀られており、静岡県指定の重要文化財となっています。
機織りの神様が祀られてる神社が2つもあり、神様に奉納する衣服を保管し奉納する濵名惣社神明宮は、服飾関係のお仕事をする者として一度は訪れておきたかった場所なのです。
近くにお立ち寄りの際は訪れてみてください。
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